中学受験において、ほとんどの塾では毎週末に志望校の過去問に取り組んでいると思います。
この志望校対策としての過去問の取り組みが、どれだけ受験生に効果的なのか、疑問に感じることがあります。
集団授業における過去問対策は、個々の学力差に開きがあるほどデメリットが大きくなります。
授業時間内に問題を解き、答え合わせをして、解説を聞く。問題量が多いと解説はポイント中心となるでしょう。また、先生の板書のスピードも上がって、速い授業テンポにどれだけの生徒がついていけるだろうかと考えてしまいます。
授業ノートは取っているけど、解説の大事なポイントを聞き逃して、大事なことは何一つ習得できていない、といったお子様は恐らく1人や2人ではないでしょう。塾としては教室や人員に限りがあるので致し方ない部分はありますが、対策授業のテンポについていけない生徒の親は、塾に任せきりにしてはいけません。通常授業と違って過去問対策授業は「詰め込み式」になっていますので、多くの生徒は帰宅後の親のサポートが必要なはずです。
特に、過去問対策授業を受けてきて、分からないところを一杯抱えて帰ってくるお子様は今すぐにでも「テコ入れ」をすべきです。対策はお休みして、週末は基礎強化や出題形式別の演習など「個別メニュー」に切り替えられたほうが合格可能性が高まります。選択一つで天国か地獄か分かれますから重要な決断となります。
ところで、過去問を取り組むメリットは次の3点です。
①試験時間に対して問題量や難易度を肌感覚で味わえること
②問題傾向・出題傾向がつかめること
③得点を算出して合格への手ごたえが確かめられること
生徒は過去問対策でも得点を気にしますが、過去問対策は得点よりも自らの受験の「ゴール」を体得することが何より重要です。過去問の比較対象が合格最低点の場合、不得意科目ならその1.2倍程度、得意科目なら1.3倍以上の得点が目安ではありますが、得点に一喜一憂しない・させないことが肝心です。
受験前の週末の大事な時間を過去問対策に費やす場合、それが本当に実になっているかをチェックすることです。
チェック方法はいたって簡単。目の前で問題を解いてもらい、ポイントを説明してもらうことです。
親の中には「過去問をガンガン取り組めば合格できる!」といった過去問崇拝を持つ方が時々いらっしゃいます。おそらくご自身の体験より導かれたものでしょうが、他者に適用するのは少し危険な話です。
過去問は志望校への「道しるべ」であり「万能薬」ではありません。過去問を知ることで日常学習の類似問題でその習った知識を当てはめる。こうした実践の繰り返しが学力を引き上げます。
親御さんにできることは、過去問の点数を見て安心することではなく、過去問の手応えを子どもに問いかけ、場合によっては寄り添うことです。受験直前期は成績停滞が続くと不安になりますから、本人の得点以外の言葉に耳を傾けることは、子どもに大きな安心を与えることになります。
中学受験は親子で乗り越えるチーム戦ですが、子どもは受験体験がないため、他の塾生と違う選択をとろうとすれば、子どもはきっと抵抗感を持つでしょう。
お子様の希望に沿うばかりでなく、親御さんが今の学習状況に不安を感じられたら、お子様を説得して軌道修正してみましょう。それが、合格への一番の近道になるかもしれません。


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