中学3年生にとって、6月から夏休みにかけての時期は高校受験の土台を作る大切な期間です。しかし、この時期になると「何の問題集をやればよいのか」「どの教科を優先すればよいのか」といった情報ばかりに目が向きがちです。
もちろん勉強量を確保することは大切ですが、それ以上に重要なのは、自分の弱点を正しく把握することです。
多くの生徒は、自分の苦手な単元についてある程度の自覚を持っています。例えば、「数学の関数が苦手」「英語の長文が読めない」といったものです。しかし、本当に注意しなければならないのは、本人も気づいていない苦手分野の存在です。
特に中学1年生や2年生で学習した内容の中には、その場しのぎの丸暗記で乗り切ってしまった単元が少なくありません。定期テストでは何とか点数が取れたとしても、本質的な理解が伴っていないため、時間が経つと知識が抜け落ちてしまいます。
例えば、英語であれば文法のルールを理解せずに問題パターンだけ覚えていたり、数学であれば公式の使い方だけを覚えていて、その意味までは理解していなかったりするケースがあります。本人は「できるつもり」になっているため、自覚症状がありません。しかし模試や実力テストになると、そうした曖昧な理解が一部表面化します。
そこで自覚できるような自習能力の高い子はさておき、多くの子どもは他に理由を見つけて「運が悪かった」と収めて、復習する機会を逃すケースが大半です。
夏休み前に取り組むべきことは、まさにこうした潜在的な弱点を掘り起こす作業です。
そのためには、既習範囲の基礎を改めて確認することが欠かせません。難しい応用問題に挑戦する前に、中学1年生から現在までの内容を振り返り、「本当に理解しているか」を確認する必要があります。
ここで大切なのは、単に問題が解けるかどうかを見ることではありません。
実際の指導では、「なぜその式を立てたのか」「最初に何を考えたのか」「別の解き方はできないか」といったことを確認します。生徒が答えにたどり着いていたとしても、その過程を聞いてみると、理解して解いているのではなく、以前に解いた問題を思い出して機械的に解いているだけの場合があります。
逆に、途中で間違えたとしても考え方そのものは正しく、単純な計算ミスに過ぎないこともあります。
つまり、本当に見るべきなのは正解か不正解かではなく、問題をどのように捉え、どのような手順で解こうとしたのかという点です。
その手順を確認していくと、一見すると関係のない基礎知識の理解度まで見えてきます。数学であれば割合や分数計算、文字式の理解不足が関数や図形の問題に影響していることがあります。英語であれば長文読解が苦手なのではなく、実は基本文法や単語の知識が不足していることも少なくありません。
こうした確認をいくつかの単元で繰り返していくと、その生徒がどこまで理解できていて、どこから理解が曖昧になっているのかが見えてきます。そして個々の問題の正誤だけでは分からない、その科目全体の理解状況を把握することができるのです。
ただし、この作業は思っている以上に時間と労力がかかります。どこが理解できていないのかを自分一人で見つけ出すのは難しく、保護者の方が確認しようとしても、学習内容が多岐にわたるため限界があります。
家庭教師はそうした点において学習時間とその労力を最短かつ効率よく進められる存在です。
特にさまざまな受験にも対応できるプロ家庭教師は、単に問題の解き方を教えるだけではなく、生徒との対話や問題演習を通じて、どこで理解が止まっているのか、どの知識が抜け落ちているのかを効率よく見つけ出すことができます。生徒自身も気づいていない弱点を発見し、そこから優先的に補強していくことで、夏休みの学習効果を最大限に高めることができます。
受験勉強では、苦手単元を克服することも大切ですが、その前に「何が苦手なのか」を正確に把握しなければなりません。言い換えれば、受験勉強の第一歩は勉強そのものではなく、自分の学力を点検することなのです。
夏休みは受験生が最もまとまった学習時間を確保できる貴重な期間です。その時間を有効に使うためにも、夏休み前の今こそ既習範囲の基礎を再確認し、表面化している弱点だけでなく、潜在化している弱点まで見つけ出しておくことが大切です。
夏休みの成果は、夏休みが始まる前の準備に大きく左右されます。焦って問題集を増やすのではなく、まずは自分自身の学力を見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
